段階制・従量制プランの格安SIMを比較
使った分だけ課金される(1ヶ月に使ったデータ容量に応じて自動的に料金が上がっていく)段階制や従量制のプランは、月ごとに使うデータ容量にバラつきが大きい方にはぴったりだ。利用が少なかった時は料金を低く抑えることができるし、利用が多かった月はその分だけ料金を支払えば良い。わざわざプランを変更したり、追加チャージを行う手間も無くなるぞ。
最近になってこのプランを採用する格安SIMが増えてきているため、注目度が高まりつつある。
プランによって、料金の上がり方がゆるやかなものや急なもの、きれいな線形なものもあればバラツキのある階段状のものもあったりと、いろいろなパターンが見られるぞ。
各SIMの比較・解説
楽天モバイル
ついにMNOとなった楽天が業界に風穴を開ける!
「第4のキャリア」となった楽天モバイル株式会社が運営するモバイル通信サービス。プランは「Rakuten 最強プラン」の1本勝負。月額料金1,078円から使える段階制で、月20GB以降は楽天回線エリア・パートナー回線エリアともに定額で無制限。かけ放題もついている。それでいてMNOとしての常識を越える安さも実現しているぞ。楽天回線エリアは急速に拡大中で、プラチナバンドも主要都市部から順次利用可能になってきている。楽天スーパーポイントが貯まりやすくなる特典も魅力。
プラン名 | 月額料金 | 高速通信容量 | 回線 |
---|---|---|---|
Rakuten 最強プラン | 1,078円~3,278円 | 3GB/月~無制限 (段階制) | 楽天+au |
Rakuten 最強プラン データタイプ | 1,078円~3,278円 | 3GB/月~無制限 (段階制) | 楽天+au |
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3キャリアから新プランで攻勢を掛けられた楽天モバイルが打ち出したのは、なんと段階制プランだった。
データ通信量 | Rakuten 最強プラン |
〜3GB/月 | 1,078円 |
〜20GB/月 | 2,178円 |
20GB/月〜 | 3,278円 |
かつては1GBまで0円で使えたのがインパクト抜群だったが、残念ながら廃止されてしまった。現在はスタートが3GBまで月額1,078円となっている。それでもMNOとしては画期的な安さであることに変わりない。
3GBから20GBまでは2,178円で、20GBで比較すればahamoやpovoより安く抑えている。競争に勝つべく強気に出ているというのがよく感じられるポイントである。
そして、20GB以降はどれだけ使っても3,278円。段階制になっても無制限は健在。
ところで、料金はパッと見で規則正しく上がっていくように見えるが、きちんとグラフに描いてみると形がけっこう粗いことに気づく。特に3GB〜5GBあたりのグラフが尖った部分では割高感が出てしまうので、1ヶ月間のデータ使用量がそれくらいだという方は注意が必要だ。
LINEMO
LINEモバイルに代わって登場の新ブランド!
SoftBankのオンライン限定プラン。「LINEMOベストプラン」と「LINEMOベストプランV」という2つの二段階制プランで、これまでMVNOが展開していた容量帯にまで攻めにかかる。2年縛りも無く、余計な条件なしのシンプルなサービスとなっている。
プラン名 | 月額料金 | 高速通信容量 | 回線 |
---|---|---|---|
LINEMOベストプラン | 990円~2,090円 | 3GB/月~10GB/月 | SoftBank |
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LINEMOからも二段階制のプランがリリースされた。
高速データ通信量が少なめの方が「LINEMOベストプラン」、高速データ通信量が多めかつ5分かけ放題がセットになっているのが「LINEMOベストプランV」だ。
高速データ通信量 | LINEMOベストプラン | LINEMOベストプランV |
---|---|---|
〜3GB/月 | 990円 | – |
〜10GB/月 | 2,090円 | – |
〜20GB/月 | – | 2,970円 |
〜30GB/月 | – | 3,960円 |
これも楽天モバイルと同じく、料金の上がり方が急なので使用量には常に気を配る必要がありそう。
また、公式サイトには「時間帯により速度制御の場合あり」の文言があるので、回線が混雑しがちな昼間や夕方は通信速度が遅くなる可能性があるというのは覚えておこう。といってもLINEMOはキャリア回線なので多少速度が落ちたとしても利用に影響は少ないかも知れないが。
エキサイトモバイル
段階制と定額制、選べる2つの料金プラン!
XTech(クロステック)傘下となったエキサイトが提供するMVNOのモバイル通信サービス。段階制プランの「Fit」はデータ容量を無駄なく利用したい方におすすめ。月次プランの「Flat」も低容量〜中容量なら非常にリーズナブル。追加SIMにも対応しているので複数の端末を所有する方にはもってこいの格安SIMだ。
プラン名 | 月額料金 | 高速通信容量 | 回線 |
---|---|---|---|
Fit 音声 | 495円~ 3,245円 | 0MB/月~ 25GB/月 | docomo・au |
Fit SMS | 462円~ 3,212円 | 0MB/月~ 25GB/月 | docomo・au |
Fit データ | 385円~ 3,135円 | 0MB/月~ 25GB/月 | docomo |
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エキサイトモバイルの新しい段階制プランが「Fit」。最小0GBから最大25GBまでとなった。
高速データ通信量 | Fit 音声 | Fit SMS | Fit データ |
---|---|---|---|
0GB(低速通信のみ) | 495円 | 462円 | 385円 |
~3GB | 690円 | 690円 | 690円 |
~7GB | 1,430円 | 1,397円 | 1,320円 |
~12GB | 1,980円 | 1,947円 | 1,870円 |
~17GB | 2,750円 | 2,717円 | 2,640円 |
~25GB | 3,245円 | 3,212円 | 3,135円 |
グラフにするとこんな感じになる。きれいな階段状だ。2023年3月に、3GBまでの部分の料金が690円に値下げされたことで、お得度がさらにアップした。
7GBまでは同社の定額制プラン「Flat」よりも安く使えるので、使う高速データ通信量が比較的少ない方に向いている。7GBを超えると「Flat」の方がお得。
12GBあたりまでは楽天モバイルよりも安いぞ。
データ通信量の上限設定機能はついていないようなので、使いすぎには注意しよう。
低速通信のみ(0GB)なら500円以下という格安さで使えるというのもポイントだ。高速通信のON/OFFはエキサイトモバイルの公式アプリ「My エキサイトモバイル」で設定できるので、ずっとOFFにしておけば0GBの料金のままで大丈夫。
日本通信SIM
大手キャリアが安くなれば、MVNOはもっと安くなる!
日本におけるMVNOの先駆け、日本通信が提供するモバイル通信サービス。ユーザー目線で合理的な料金を実現することに心血を注ぎ、先頭を切って月額料金の値下げを実現させている。2017年にSoftBank回線の格安SIMが実現したのもこの会社からだ。プラン構成が変わることの多いサービスではあるが、常に試行錯誤を続けている証と言えるだろう。
プラン名 | 月額料金 | 高速通信容量 | 回線 |
---|---|---|---|
日本通信SIM 合理的シンプル290プラン | 290円~ | 1GB/月~ | docomo |
日本通信SIM 合理的みんなのプラン | 1,390円~ | 20GB/月~ | docomo |
日本通信SIM 合理的50GBプラン | 2,178円~ | 50GB/月~ | docomo |
※表は横スクロールしてご覧ください。
日本通信SIMの「合理的」シリーズは、月間データ容量を超えると1GB使うごとに追加料金がかかる仕組みとなっている。ここでは3種類のプランを解説しよう。
「合理的シンプル290プラン」は、その名の通りスタート時の月額料金がわずか290円という、音声通話プランとしては破格の料金となっている。月に1GBまでが290円、その後は1GBあたり220円で上昇する。上限は100GBまで。
「合理的みんなのプラン」はスタートが月20GBまでで、「70分無料通話オプション」または「5分まで通話無料」が標準でついているのがメリット。20GBを超えたら1GBあたり220円で上昇する。上限は50GBまで。
「合理的50GBプラン」はスタートが月50GBまでで、これも「70分無料通話オプション」または「5分まで通話無料」が標準でついている。50GBを超えたら1GBあたり220円で上昇する。上限は100GBまで。
どのプランも料金の上がり幅が1GBにつき220円と大きいのがデメリットである。そのため初期データ容量を超えて使うのは基本的におすすめしない。データ容量の上限設定を行って、使いすぎないようにしておきたいところ。
高速通信のON/OFF切り替えはできない模様。
まだまだあります(以下、一部古い情報あり)
IIJmio
優れたプランとサービス品質の高さで業界をリード!
IIJ(インターネットイニシアティブ)が提供するMVNOのモバイル通信サービス。読み方は「アイアイジェイ・ミオ」。音声通話機能のあるプランは「みおふぉん」という愛称で親しまれている。余ったデータ容量の翌月繰り越しやバースト転送機能など、かゆいところに手の届く機能をいち早く取り入れてきた。お得な2つの通話定額オプションも魅力的。柔軟性が持ち味の格安SIMだ。
プラン名 | 月額料金 | 高速通信容量 | 回線 |
---|---|---|---|
従量制プラン(SMS機能付き) | 528円~ 4,730円 | 1GB/月~ 20GB/月 | au |
従量制プラン(音声通話機能付き) | 1,298円~ 5,500円 | 1GB/月~ 20GB/月 | au |
※表は横スクロールしてご覧ください。
IIJmioからも従量制プランが登場したぞ。au回線のみ。料金表は以下の通り。
バンドルクーポン | SMS機能付きSIM | 音声通話機能付きSIM |
---|---|---|
~1GB | 528円 | 1,298円 |
~2GB | 770円 | 1,540円 |
~3GB | 990円 | 1,760円 |
~4GB | 1,210円 | 1,980円 |
~5GB | 1,430円 | 2,200円 |
~6GB | 1,650円 | 2,420円 |
~7GB | 1,870円 | 2,640円 |
~8GB | 2,090円 | 2,860円 |
~9GB | 2,310円 | 3,080円 |
~10GB | 2,530円 | 3,300円 |
~11GB | 2,750円 | 3,520円 |
~12GB | 2,970円 | 3,740円 |
~13GB | 3,190円 | 3,960円 |
~14GB | 3,410円 | 4,180円 |
~15GB | 3,630円 | 4,400円 |
~16GB | 3,850円 | 4,620円 |
~17GB | 4,070円 | 4,840円 |
~18GB | 4,290円 | 5,060円 |
~19GB | 4,510円 | 5,280円 |
~20GB | 4,730円 | 5,500円 |
1GB→2GBのみ242円アップで、その後は220円/1GB。最大は20GBまで。このプランは最近値下げされておらず、2021年以前の相場のままとなってしまっているのが微妙なところではある。
高速通信のON/OFFは専用アプリ「みおぽん」を使えば行える。使いすぎ防止のストッパー機能がついている点は安心。1GB単位で設定が可能となっている。
最大3枚までSIMを使えるのも特徴。しかし2枚目以降は追加SIM利用料としてSIM1枚につき440円/月、さらに音声SIMの場合は付帯料も別途かかってしまう。従量制のこのプランで追加料金を払ってまでSIMを追加する意味はあまり無いかも。
@モバイルくん。
3G使い放題プランにオートチャージ等、個性が光るSIM!
SORAシム株式会社が提供するMVNOのモバイル通信サービス。親しみやすいネーミングが良い。オートチャージの機能を持った段階制の「もっと使ったぶ〜んだけプラン」や、無制限で3Gによるデータ通信ができ、旧世代の通信方式ながらそこそこの速度を出すことができる「3G使い放題プラン」など、特徴的なプランが光る格安SIMである。
プラン名 | 月額料金 | 高速通信容量 | 回線 |
---|---|---|---|
もっと使ったぶ~んだけプラン | 1,320円~ | 500MB/月~ | docomo |
なっ得プラン | 3,190円~ | 5GB/月~ | docomo |
通話もできる10GBプラン | 5,500円~ | 10GB/月~ | docomo |
※表は横スクロールしてご覧ください。
この3つのプランはオートチャージの機能を持っており、従量制プランの感覚で利用できる。月間の高速データ通信量を超えてデータ通信を行うと、500MB単位で自動でチャージされる。
「もっと使ったぶ〜んだけプラン」「通話もできる10GBプラン」の場合:
- 1・2回目:550円/500MB
- 3・4回目:440円/500MB
- 5回目以降:330円/500MB
「なっ得プラン」の場合:
- 一律 550円/500MB
「もっと使ったぶ〜んだけプラン」はスタートがわずか月額1,320円で、音声通話SIMとしてはかなりの格安さ。ただし料金の上昇幅は大きく、エキサイトモバイルや日本通信SIMと比べるとあいにく割高なのは否めない。
高速通信のON/OFF切り替えも残念ながらできないようだ。
オートチャージの上限はユーザーが設定することができる。上限をちゃんと設定しておけば、後になって「うっかり使いすぎて料金がふくれあがってしまった」といった事態は起こらなくて済む。